2012年5月11日金曜日

驚くべき本のタイトル「製造業が日本を滅ぼす」

書店で驚くべきタイトルの新刊本が目に止まった。「製造業が日本を滅ぼす(野口悠紀雄著)」。人によって受け止め方は様々だろうが、私にはとんでもない非常識で乱暴なタイトルであるように思える。

例えば「製造業の重視が日本を滅ぼす」とか、同じ著者の以前の本のように「ものづくり信仰が日本を滅ぼす」というようなタイトルであればまだ、ひとつの意見として聞いてみようかという気にもなるが、「製造業が日本を滅ぼす」という乱暴な表現にはまず反感を覚えざるを得ないだろう。

特に製造業に対する非礼と忘恩が印象づけられる。

一言に「製造業」といってもあまりにも意味範囲が広いし、比喩的な意味合いも様々ではあろうが、端的に、ストレートに解釈して製造業が日本を滅ぼすということはありえないとも言えるし、そのようなことがあってはならないとも言える。多少とも理性的に表現するつもりであれば、せめて「製造業が日本を滅ぼすことにならないように」とでもタイトルをつけるべきだろう。

内容的には恐らく傾聴すべきところもあるのだろうとは想像できるが、このような、製造業に対して非礼で忘恩的なタイトルでは反感が先に立ってしまうだろう。ちょっとページを繰ってみたが、アップル社を例にあげてアメリカの企業と経済政策の先進性をいつものように繰り返し主張している箇所が目につき、もちろん、そこに一定の真実が含まれているにせよ、いつもそのような一面ばかりが主張されていることにはうんざりしてしまう。

端的に言ってこのタイトルは、理性的な学者が本のタイトルとして使うような類のものではないと思う。

0 件のコメント: