2018年1月14日日曜日

二つの異方空間と三つの等方空間(鏡像の意味論、番外編その3)

前回の投稿を誤って削除してしまいましたので、掲載したリストだけを簡単に再現し、簡単に付記を書き留めておきました。

  1. 主に視空間(異方的)における解析により論旨を展開 ―― Gregory説、高野説
  2. 主に像空間(異方的)における解析により論旨を展開 ―― 吉村・多幡説
  3. 主に鏡像認知空間(等方的)における解析により論旨を展開 ―― Gardner説、Itteleson説
  4. 主に比較空間(等方的)における解析により論旨を展開 ―― 多幡・奥田説、Corballis説
  5. 主に光学的実像空間(等方的)における解析により論旨を展開 ―― Haig説

何れの説もその空間における説明に力点を置いているということで、他の空間による解析を全く用いていないというわけではありません ―― そのような部分の内容や重要性については諸説によりさまざまですが、中には単に常識的な理解、あるいは他人の成果を利用しているだけの場合もあるように思います。またこの分類は各説の優劣や評価とは無関係です。ただ、「1」の視空間のみによる解析では、視空間そのものは観察者以外にはうかがい知ることのできない感覚的で主観的な認知空間であるわけで、どうしても直観にたより客観性を欠くものになるように思います。そこで実験という手段の可能性がでてくるのでしょうが ―― 当然、実験にも限界があります ―― ある一つの実権によって何がわかるのか? それだけですべてがわかるのか? 実験を使った解析と統合はそう簡単ではないと思います。
(2018/01/14 田中潤一)

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