(この記事は http://yakuruma.blog.fc2.com にて公開済みです)
TITLE: 『検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定』という呆れた新刊本
CATEGORY: 「ニセ科学」論議
DATE: 03/08/2011 21:37:34
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書店で表記の新刊本(文芸社)が目についたので手に取ってみた。
表題からして、おかしな本であると私には思える。というのは、もう一般的に通用するようになってしまった陰謀論という言葉自体、奇妙で無責任な意味不明の造語であると思われる上に「パーセントで判定」という副題がついているからである。中を覗いてみると著者が「陰謀論」の範疇に含めている各種の言説についてそれぞれ「真実度」なるものをパーセントで表示している。これが冗談やユーモアでなく科学であるというのなら、まったくこの本こそが「ニセ科学」(私自身この言葉を認めないが)であり、無責任なでっち上げであることを告白しているようなものである。
いやしくも科学の名において何かをパーセントで表すというのであれば、どのようなデータ用いてどのように計算したかという、計算式を示さなければ何の意味もない。そしてそれを「真実度」と呼ぶとすれば、それは著者がその計算式に恣意的に与えた定義あるいは単なる命名に過ぎない。もちろんその計算式があったとしての話である。抽象的な「真実度」に正確な意味などありえない。意味があるとすれば幻想のようなものだろう。科学技術の専門分野には真実度といった概念があるようだが、それらはその分野において正確な計算式が定義されている筈である。
ちょっと立ち読みをさせて貰うと、最初の方に「地球温暖化はでっち上げだという説」という項目があったのでざっとめくってみた。それによると、地球温暖化はでっち上げだという説の「真実度」は0パーセントだそうである。内容を読んでみても、権威に訴えるだけの科学的に見える用語を使って断定的な表現をしているだけであって、何の議論も論証もない薄っぺらな文章である。そもそもこういう問題を科学的に論じようというのであれば「でっち上げ」などという言葉を持ち出したりすると、ただでさえ複雑きわまりない問題をさらに複雑曖昧にするばかりである。「でっち上げ」などという言葉は使うべきではないだろう。「地球温暖化否定説」とか「地球温暖化懐疑説」とでも言うべきだろう。こういう問題にパーセントを出そうなど大それた事を試みるというのであればなおさらである。
他はぱらぱらとめくってみただけだが、真実度が0パーセントという項目が多く、0.01パーセントというのもある。取り上げられている項目も一貫性があるとは思えないが、どうやら盛んに「疑似科学」批判を行っている人たちが批判の対象にしている言説を集めたと言って良さそうである。「疑似科学」批判の対象と言えば初期にはオカルトや超常現象などだったように思うが、それがいつの間にかそこに政治的な言説が取り上げられるようになり、「陰謀論」という範疇ができあがって来たのではないか。これは筆者の推測。
それにしても何という意味の混乱、科学の乱用だろうか、と思う。科学技術自体の暴走も問題にされる昨今である。科学者、科学的であるこを自認する人達がこんな本を書いているとすれば、科学の信用を落とすばかりだろう。
「意味」にまつわる意味深長で多様なテーマを取り上げています。 2011年2月13日から1年間ほどhttp://yakuruma.blog.fc2.com に移転して更新していましたが、2011年12月28日より当サイトで更新を再開しました。上記サイトは現在『矢車SITE』として当ブログを含めた更新情報やつぶやきを写真とともに掲載しています。
2011年12月28日水曜日
『眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く』 を読んで
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TITLE: 『眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く』 を読んで
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PRIMARY CATEGORY: 進化論など
CATEGORY: 進化論など
DATE: 02/18/2011 21:47:22
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この記事は筆者の別ブログ「発見の発見」の方に掲載しました。
「眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く」を読んで
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DATE: 02/18/2011 21:47:22
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「眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く」を読んで
2011年12月27日火曜日
更新を再開します
このサイトは「意味」の周辺というタイトルで始めましたが、今年の2月、ブログの仕様にちょっとした不具合とデザインの問題があって次のブログサイトに引越しました:http://yakuruma.blog.fc2.com 。その後引越し先のブログにも不満が出てきました。たとえば、1つの記事に1つのカテゴリーしか設定できないことなどです。
そんな時、久しぶりにこちらの旧いブログをチェックしてみると、それでも1日に1回程度の割合でアクセスがあります。またbloggerの仕様もデザインしやすくなっている上、便利なガジェットが追加されています。それでまた、こちらのサイトに戻そうとしたのですが、FC2ブログではBloggerからインポートはできてもエクスポートはできない仕様になっていました。
しかし、この一年ほどの間に書いた記事は10本程度ですので、今日の日付でまとめてこちらにコピーすることにしました。以下、それらの記事のリストです。
以後、同名のタイトルにて、当ブログで更新してゆきたいと思います。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
12/23/2011 宮沢賢治の回答
12/17/2011 梅棹忠夫著「文明の生態史観」再読で「エコ」運動について考える
今年は3月の地震以来、エコロジー運動について考えさせられることが多く、このブログでもエコロジー運動に関わる問題を取り上げてきましたが、この記事は結果的にそのまとめのような形になっています。かなり、時間をかけて書きました。
そんな時、久しぶりにこちらの旧いブログをチェックしてみると、それでも1日に1回程度の割合でアクセスがあります。またbloggerの仕様もデザインしやすくなっている上、便利なガジェットが追加されています。それでまた、こちらのサイトに戻そうとしたのですが、FC2ブログではBloggerからインポートはできてもエクスポートはできない仕様になっていました。
しかし、この一年ほどの間に書いた記事は10本程度ですので、今日の日付でまとめてこちらにコピーすることにしました。以下、それらの記事のリストです。
以後、同名のタイトルにて、当ブログで更新してゆきたいと思います。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
12/23/2011 宮沢賢治の回答
12/17/2011 梅棹忠夫著「文明の生態史観」再読で「エコ」運動について考える
今年は3月の地震以来、エコロジー運動について考えさせられることが多く、このブログでもエコロジー運動に関わる問題を取り上げてきましたが、この記事は結果的にそのまとめのような形になっています。かなり、時間をかけて書きました。
11/06/2011 解像度の意味 ― 「相対的」解像度と「絶対的」解像度を区別すればどうだろうか
10/23/2011 自然、または地球の「意味」と気象 ― 芸術が欺瞞に陥らないように
06/24/2011 自然とエネルギーの意味論
06/09/2011 18:30:57 内田樹×中沢新一×平河克美著「大津波と原発」を読んで
05/28/2011 自然信仰という言葉で表現されているもの
04/29/2011 政治とビジネスに取り込まれた科学
04/01/2011 なぜ「リテラシー」という言葉が良くないのか
03/21/2011 天罰と物理化学的現象
03/08/2011 『検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定』という呆れた新刊本
02/18/2011 『眼の誕生 ― カンブリア紀大進化の謎を解く』 を読んで
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