2012年1月4日水曜日

元旦に見た報道番組2本の印象


(テーマ別に複数のブログサイトを持っているせいで、どのブログに投稿しようか迷うことがあります。今回の記事は特に迷いましたが、とりあえずここに落ち着きました)


1日の午後、NHKオンデマンドで衛星放送の報道系番組2本を続けて見た。1つは「ソビエト崩壊20年」という番組で、プーチンのロシアシリーズの1つである。国際共同制作というのでどういう意味があるのかと思ったが、Brook Lappingという名前が出ているだけで、何処の国のどういう団体であるのかも分からない。ネットで調べるとロンドンにあるイギリスのテレビ番組制作会社であることがわかった。このような場合、イギリスの制作会社であるBrook Lappingとの共同制作といえば良いのであって、何も国際共同制作などという大げさな言い方はしないほうが自然ではないのだろうかと不審に思う。見た印象では、実質的にBrook Lappingで制作された番組といって良さそうな感じだったが、最後の字幕をみると、結局はBrook Lappingで製作された番組の日本語版を日本で作成したというだけのように見える。英語版と日本語版以外にもあるのだろうが、別に日本のスタッフとは関係あるとは思えない。そうであるなら、イギリスのBrook Lapping制作番組の日本語版として放送すべきだろう。という次第で、世界的にマスコミの偏向報道が問題になっている昨今、こういう触れ込みでの放送は印象が悪い。内容的にどうこういうだけの見識を私は持たないが、ただ最近の日本のドキュメンタリーで過剰に使われる音楽が一切使われていなかっとことは気持ちが良かった。その分映像テクニックが目立ってくる。それとナレーションだ。ただ見終わっても大した充足感がない。断片的な映像や政治家の発言を切り離して参考に出来るだけの識見がある人が見ればそれなりに得るところがあるかも知れないが、結局ナレーターが話すストーリーと解釈を聞かされるだけという印象。


続いて見たもう一本は経済評論家の内橋克人氏への長時間インタビュー番組である。世界と日本の現在の政治と経済への批判が基調になっていて、いずれも納得できる内容で、大いに氏への共感が持たれるわけだが、その解決策として氏が提唱する「理念型経済」の説明のところまでくると、端的に言って失望である。「理念型経済」の思想そのもは個人的に良く理解していないし、おそらく豊かで示唆的なものを多く含むものであろうと推察するものの、具体的な方策となるともう、はっきり言ってエコロジー運動にみられる欺瞞をそのまま受け継いでいるように思えるからである。本ブログの先般の記事「梅棹忠夫著「文明の生態史観」再読で「エコ」運動について考える」で考察した大きな問題を孕んだところの、言葉を換えると、欺瞞に立脚したところのエコ思想そのものである。

内橋克人氏も少なくとも次の3つの大なる欺瞞をその思想の主要な砦としているように見える。すなわち、CO2温暖化論と放射線リスク直線仮説、そして太陽光発電と風力発電をメインとする「再生エネルギー」に対する過剰な期待である。少なくともこの3つを砦とせざるを得ないとすればそのような思想あるいは「理念」はかなりいい加減なものと言わざるを得ないと思う。

氏自身は「夢ものがたりと思われるかも知れないが」というが、遠い未来の夢物語でもそれはそれで「理念」として存在価値があるかも知れないが、欺瞞を根拠に現在でも実現可能というのであればそれは否定せざるを得ない。

この辺りが本来の自然科学者でも科学技術者でもない人文科学系の文化人の一つの限界のように思われる。もちろん絶対的な限界というわけではないものの、一つの壁かもしれない。

ネットで氏の「理念型経済」を検索してみると「浪費なき成長―新しい経済の起点」という氏の著書がアマゾンのサイトでヒットし、マーケットプレースに中古品が1円で出品されている。送料を入れて251円で購入できるので注文した。もうすこしこの辺りのことを考えてみたい。内橋克人氏のような人物がこういった欺瞞にしがみついているのは本当に残念なことだと思う。

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